ボルネオ島、ジャングルの中にあるダガット村での生活・文化・生き物などについて書いてみます

カンポンライフ @ ダガット村

自然と感覚

森と色、生活と色覚

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森の中、特に森の樹冠部というのは色に富んでいます。

植物の作り出す色のモザイクやグラデーションが至る所に広がっていて、それらがまたより大きなモザイクやグラデーションの一部となり、色の風景を創り出しています。

そういったマクロな景色では、所々に混じる赤や黄系の色もとても自然に溶け込んでいます。

同じ緑の葉でも木の種類によっても状態によっても葉の色は変わり、本当に色々な緑があることを森は気づかせてくれます。

森は緑が支配する世界

長い森の生活を離れ街での生活に戻ると、塗りつぶされた色の多さ、純度の高い色の多さが奇妙に感じます。僕は人と比べれば過敏な方ですが、やはり街の暮らしで目に入るものは視覚情報も刺激が強いものに感じるのです。

木々や枝を跳ねる鳥はいくら見ていても目が疲れることはありません。それどころか、目が溶け込むようなそんな感覚もあります。そのくらいニュートラルで優しいのです。日差しは強いですが…。

ところで、僕は色覚テストをやると満点が取れます。

ハッキリしたことは分かりませんが、僕が思うに、これは元々僕の色覚が優れていたなんてことではなく、森の生活がリハビリとなって取り戻されたものなのではないかと思っています。

例えばマンゴー然りドリアン然り、木に生っている実を見つけるのに色覚は必要です。葉色のパターンとは違う実を見分けられなければなりません。木の下から実の熟れ具合を判別するにも色覚は大事です。

タラップ(ニオイパンノキ)/Artocarpus odoratissimus の実。熟れ具合も色味で判断する。

生き物を見つけるのもそうです。動いてくれる生き物を捉えるのは容易ですが、じっとしている生き物を捉えるにはその微妙に木々と違う色を判別できなければなりません。

キノコやシレナシジミなどの貝類を探すのも同じです。

言い替えればニュートラルな風景である林床や樹冠の色のパターンの中から違う色を判別するということであり、それは生活に根差した作業、行動のなかで勝手に訓練される内に判別できるようになっていくものです。動体視力も同じだと思います。

ティンカクラッド(ティドン名)の実。熟れ具合で緑→黄→赤と変化する。

僕も最初の内は動物をスポットしたり実を見つけるのはそこまで上手ではありませんでした。いつも同行者の村民が先に見つけ、指さしてくれてもどこにそれがあるのか分からなかったりもしました。それでも、そんな生活をしている内に、同じ風景を眺めていても見えるものもどんどん増えていきました。

色覚も森の生活に適応する内に身についたのだと思います。そしてそれは元々人間の身体に備わっている機能だけれど、使わなければ鈍化するということではないでしょうか。

里山のあるベッドタウンで虫捕り少年だった僕にはそう思えています。

そして今は、色々な景色が内外通じて以前よりもとても色鮮やかに見えていて、何よりも大切なものになっています。

ティンカクラッドの収穫。森の生活と色は切り離せない関係。

自然の風景を眺めるだけでなく、その風景の中から何かを探してみる。そういったことを日常に取り入れることは、色覚だけでなく、人のニュートラルな感覚を取り戻すのに役立つかもしれませんし、精神の安定ももたらしてくれるものなのではないかと思います。

生活と自然が切り離されている今だからこそ、常日頃から意識してみて欲しいです。

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