ダガット村において最も一般的な収入源がオニテナガエビです。
和名: オニテナガエビ
学名: Macrobrachium rosenbergii
英名: Giant fleshwater Prawn
マレー名 : Udang Galah
オニテナガエビはインドから東南アジア、北オーストラリアの淡水・汽水域に生息するエビの仲間です。オスの腕は最大で30cmにもなり、一匹で300gを超える個体も時折水揚げされます。サバ州では以前は一般的に食べられていましたが、近年は漁獲が減り、価格が上昇しているため段々と庶民の食べ物ではなくなりつつあります。最近はいろいろな場所で養殖されているようですが、サバ州ではまだあまり盛んではないように思います。
グレードA+
時期によって汽水にも入りますが、基本的には淡水に集まっています。その為下流域のダガット村付近では、渇水期の7~9月には塩分濃度が上がるため漁獲が減り、まとまった雨の降る12月ごろ4月までが本格的なシーズンとなります。
ダガット村では今でもオニテナガエビ漁が一番の収入源です。漁場であるセガマ川下流域も漁獲は減少していますが、その分価格も上昇している為、収入源としては成り立っています。村の生活はこのオニテナガエビ漁を中心に回っています。エビの漁獲に応じて週に1度くらいのペースで街へ買い出しに行き、板氷やガソリンを買い、ついでにその他の生活用品も購入します。その氷に合わせて毎日の投網漁、3~4日に1度のエビかご漁に行き、漁獲されたエビと氷の状況に合わせて次の買い出しに行く、その繰り返しになります。

オニテナガエビの配達
出荷先は中間業者になる華僑が多いです。村の人たちが魚介類の価格の高い半島に自分たちで出荷できるようになれば一番なのですが、そのシステムを作るには時間がかかりそうです。

オニテナガエビのグレード分け
オニテナガエビのグレードは1~3まであり、グレード1の出荷価格がRM42/kg、小さくなるごとに価格も下がります。グレード1は食べ応えがありますが身が硬いものが多いため、身を食べるのであれば個人的におすすめなのはグレード2です。スープにするのであればグレード2以上のできるだけ新しいものが良いです。新しくオレンジ色の中腸線が発達したものはとても奥の深い出汁が出るため、スープにすると最高です。

オニテナガエビ入りスープ
オス特有の青くて長い腕は剝き方にコツがいりますが、軽くあぶり焼きにして食べると美味しいですよ。
村のおかずも一番多く食べられているのはオニテナガエビです。手軽に獲れ、大抵ストックがあるのはオニテナガエビ。野菜炒めやスープの風味付けに使われるのもオニテナガエビですし、誰でも好き嫌いなく食べるのがこのオニテナガエビなのです。
村で生活しているとオニテナガエビばかりがおかずに出てくるので、最初は美味しいのですが1カ月も経つと飽きてきてしまいます。

唐揚げにしたり

焼いたり

茹でたり、炒めたり
いろんな料理があります。僕のおすすめは若いマンゴーを刻んだものとグレードB以上の焼きオニテナガエビをほぐしたもの、唐辛子(チリパディ)を混ぜて塩を軽く振った料理です。

オニテナガエビのマンゴー和え
マンゴーの程よい酸味にオニテナガエビの中腸線の濃厚な風味とエビの食感がとてもマッチします。ご飯ととても相性が良く、これがあれば他のおかずはいらないくらいです。機会があればぜひ試してみてくださいね。
次回はオニテナガエビの漁について書いてみたいと思います。